今回取り上げるのは、軽快なリズムが楽しいThe Grand Old Duke of York.偉大なる公爵のはずですが、どうも様子がおかしいようです。
You Tubeのサンプル
まずは聞いてみましょう。
歌詞
Oh, the grand old Duke of York,
He had ten thousand men,
He marched them up to the top of the hill
And he marched them down again.
And when they were up, they were up,
And when they were down, they were down,
And when they were only halfway up
They were neither up nor down.
ああ、偉大なヨーク大公爵さま
1万人の家来をお持ちだった
家来たちを丘の頂上まで行進して上らせ
そして今度は行進して下りさせた
家来たちが上にいるときは、上にいて、
家来たちが下にいるときは、下にいる
そして、まだ真ん中までしか上っていないときは、
上にも下にもいない
語句解説
- the grand old :偉大なる
- men :家来
- march A up[down]:Aを行進して上らせる[下りさせる]
- Duke of York:ヨーク公爵。公爵はイギリスの貴族の中でも最高位です。
- neither A nor B:AでもBでもない
マザーグース深読み探検隊
まずDuke of Yorkってなにもの?と言いたくなりますね。
Dukeというのは貴族の称号で日本語では「公爵」、Yorkはイギリスの都市名です。つまりヨーク公という貴族の地位を表します。国王もしくは王女の次男に与えられる称号で、別にYorkを物理的に治めているわけではありません。
例えば私も大好きな映画「英国王のスピーチ」の主人公も当時の国王ジョージ五世の次男「ヨーク公」アルバート王子でした。
映画でも描かれましたが、お騒がせな長男が短期間で退位したので王になったのでしたね。
このヨーク公、王が変われば人も変わっていく仕組みですが、この唄でいうヨーク公はジョージ3世の次男で軍人だったフレドリック王子(1784-1827)を指しているようです。
1万人の兵隊とはすごい規模ですが、これを命じて一斉に丘を登らせ、そして下らせるというなんともハチャメチャな話。
しかし、
And when they were up, they were up,(家来たちが上にいるときは、上にいて、)
当たり前ですね。頭痛が痛い的な同語反復感が激しいですが、一種のボケでしょうか。
And when they were down, they were down,(家来たちが下にいるときは、下にいる)
これも当たり前。ボケを被せてきました。こうなるとオチがどうなるのか、downだけに気になります。
そして注目の最後は…
And when they were only halfway up (そして、まだ真ん中までしか上っていないときは、)
They were neither up nor down. (上にも下にもいない)
なんと、最後までボケを貫きました。しかもちょっと手が込んでいる(笑)。すっとぼけた唄を誰も回収することなく終わってしまいましたが、neither A nor Bという表現が学べてしまうので、英語学習者的には良しとしましょう、
こういう歌詞ですから、この唄は公爵というエライ人をからかう歌になっているようです。Wikipediaによるとフレドリック公は軍人として目立った成果を残せなかった人物のようで、そうした史実が背景があるのかもしれません。
イマココ英語オリジナル!カラオケ音源
ウクレレコード
コード3つだけですが、A#が少し難しいかもしれません。CDやYou Tubeなどでは結構早く演奏されていますが、慌てずゆっくりやりましょう♪
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