Silent night(きよしこの夜)とかJoy to the World! The Lord is come(もろびとこぞりて)とか、伝統的なクリスマスソングがありますが、それに負けず劣らず歴史のある、しかもマザーグースの一つとされるクリスマスソングがあります。それが
Twelve Days of Christmas(クリスマスの12日)
まずはYoutubeで聴いてみてください。
この唄、聴いたことありましたか?続いて、不肖ワタクシの歌唱版です。は、恥ずかしいっ。
実は私も大学の授業でマザーグースを習うまでは知りませんでした。なんだかやたら長くて、同じような詩が何度も登場しますが、これは積み上げ唄と呼ばれるスタイルで、1番を唄ったあと、2番は、2番+1番、3番は、3番+2番+1番、と12番までどんどん長くなっている仕組みになっているから。
今回はこの唄を解説しますが、さすがに長いので前編・後編に分けていきたいと思います。
まず曲名ですが、12番まである曲で、1番ごとに日が進んでいくので、12日分の唄になっていることに由来しています。
この曲名ですが、First Day of Christmasとされている場合もあります。
そもそも12日間とはいつのことかというと、1日目はクリスマスの当日である12月25日です。そして12日間とは、12月25日から1月5日までとなります。12月25日はイエス・キリストの誕生日とされる日ですが、1月6日が東方の三博士がイエスのもとを訪れた「公現祭」となっており、キリスト教文化圏では、このクリスマスから公現祭までを、降誕節としてイエスの誕生を祝う習慣があるようです。
公現祭までの12日間を祝いながら唄ってきたのがこのTwelve Days of Christmasの歴史なのでしょう。
1日目
On the first day of Christmas My true love sent to me:
A partridge in a pear tree
クリスマスの1日目、私の恋人が私に贈ってくれた
梨の木に止まっている1羽のヤマウズラ
ヤマウズラというのは下記のような鳥で、食用でもあるようです。梨の木ごとヤマウズラ一匹をプレゼントするとは、もらった側も困る気がしますが。
2日目
On the second day of Christmas My true love sent to me:
Two turtle doves and
A partridge in a pear tree
クリスマスの2日目、私の恋人が私に贈ってくれた:
2羽のキジバトに
梨の木に止まっている1羽のヤマウズラ
2日目になりましたが、1日目で紹介したヤマウズラに加え、2羽のキジバトがプレゼントされます。単純に歌詞を解釈すると、2日目に改めて、ヤマウズラがプレゼントされ、加えて新顔の2羽のキジバトが来るわけですから、すでにもらったものは、梨の木に止まっているヤマウズラ×2セットと2羽のキジバトとなっています。これからどうなるんだ!って感じですね。
3日目
On the third day of Christmas My true love sent to me:
Three French hens
Two turtle doves and
A partridge in a pear tree
クリスマスの3日目、私の恋人が私に贈ってくれた:
3羽のフランスのメンドリ
2羽のキジバトに
梨の木に止まっている1羽のヤマウズラ
3日は、フランスのメンドリ(メスのニワトリ)。例にもれず、2羽のキジバトとヤマウズラが改めて贈られます。ここまでで1+3+6=10羽という計算。とにかく鳥がいっぱいで、大変なことになりそうです。
My true loveはちゃんと世話のことを考えているんでしょうか。
4日目
On the forth day of Christmas My true love sent to me:
Four colly birds
Three French hens
Two turtle doves and
A partridge in a pear tree
クリスマスの4日目、私の恋人が私に贈ってくれた:
4羽の煤(すす)けた鳥
3羽のフランスのメンドリ
2羽のキジバトに
梨の木に止まっている1羽のヤマウズラ
4日目はcolly birds。collyはイギリスの方言で煤けた、黒っぽい、という意味。但し、米国ではこの個所をcalling birds、つまり鳴いている鳥として歌うことも多いようです。もはや何の鳥かわからなくなりましたが、blackbird(クロウタドリ)の写真を使うことにしましょう。
5日目
On the fifth day of Christmas My true love sent to me:
Five golden rings
Four colly birds
Three French hens
Two turtle doves and
A partridge in a pear tree
クリスマスの5日目、私の恋人が私に贈ってくれた:
5つの金の指輪
4羽の煤(すす)けた鳥
3羽のフランスのメンドリ
2羽のキジバトに
梨の木に止まっている1羽のヤマウズラ
5日目でついに鳥シリーズが途絶え、しかも値の張りそうな金の輪が登場。My true love、わかってるじゃない。メロディーもこの一行だけは他と違って、単調になりがちな積み上げ唄の中でアクセントになっています。
6日目
On the sixth day of Christmas My true love sent to me:
Six geese a-laying
Five golden rings
Four colly birds
Three French hens
Two turtle doves and
A partridge in a pear tree
クリスマスの6日目、私の恋人が私に贈ってくれた:
6羽の卵を抱くガチョウ
5つの金の指輪
4羽の煤(すす)けた鳥
3羽のフランスのメンドリ
2羽のキジバトに
梨の木に止まっている1羽のヤマウズラ
ついに折り返し地点の6日となりました。そして6日の贈り物は、なんと鳥に戻った!geeseはgoose、ガチョウの複数形ですね。a-layingはlayingの古い形。もとはlayという動詞で、学校英語で習う「横たわる」の他に「卵を産む」という意味があります。卵を産んでいる=抱いて温めていると解釈して訳しています。
さて、7日目以降はどうなるのか。このまま鳥三昧でいくのか、また高級品が混ざってくるのか、後編に乞うご期待!!
イマココ英語ではこのTwelve Days of Christmasを唄えて覚えるイベントを企画中です。
12月11日19時からの予定です。ご興味あれば下記リンクからお申し込みください。