突然ですがサイトワードってご存じですか。Sight wordと書きます。
Sightは見るという意味なので、パッと見て即座に意味が分かるというニュアンスだけど、その意味のごとく、ネイティブの子供が英語を学ぶ際に、真っ先に読んで意味が分かるようになるべき重要単語として整理されているものです。
例えばどんな単語かというと…
a, the, and, butなどの冠詞・接続詞、in, on, atなどの前置詞、go, come, haveなどの動詞、I, you, heなどの代名詞、every, hot, largeなどの形容詞、man, boy, foodなどの名詞が含まれます。
Wikipediaによると、1940年代にエドワード・ドルチ博士がまとめた「ドルチ・ワード・リスト」と1950年代にエドワード・フライ博士がまとめた「フライ・ワード・リスト」(Fry Word List) の2つがあるそうです。
前者が約300語、後者は1000語あります。いずれも子供に読まれる本の中から頻出単語を抽出する形でリストアップされています。フルリストは下記サイトからどうぞ。
ワタクシがアメリカに住んでいたとき、子供が現地の小学校に通っていましたが、Kinder(日本でいう年長)や1st Gradeではそれぞれの学年に応じたサイトワードが示され、読む練習、書く練習をしていました。
そんな、ネイティブが真っ先に学ぶべき超重要単語集なのに、私自身が受けた英語教育では全く聞いたことがありません。なぜでしょうか。
ネイティブは就学年齢になれば、サイトワードは基本的にすべて、音としては知っているし、意味も分かる。なぜなら日常の会話やテレビや絵本の読み聞かせを通じて、耳で聞いているからです。
但し、まだ読み書きできないので、音と文字がリンクしていないんですね。こういう綴りならこの音になる、というルールも覚えていません。なので超重要単語はそのまま丸暗記覚えさせようということで、サイトワードが登場するのです。
一方、日本人が英語を学ぶときはどうでしょうか。英語環境で育っていたわけではないので、そもそも、サイトワードを聞いたこともないし、当然意味も分かりません。そんな状態で意味不明な単語を300とか1000とか覚えろ!というのは拷問でしかないわけです。
ふと、今子供が日本の小3の英語の授業で使っていたテキスト「Let's try! 1」をチェックしてみましたが巻末に単語カードがついており、これは絵と単語が並べられた「絵カード」と呼ばれています。つまり意味と綴りを同時に覚えていく発想です。
一方、サイトワードは単語を読んで意味が分かるというのがゴールなので、絵はむしろ害悪であり(笑)、a,the,and,butのような絵にしにくい機能語も多々含まれるので、自然と単語を並べただけのものになります。
このようなフラッシュカードはネイティブの子供にも定番です。
では、日本人の子供にとってサイトワードを使った勉強は、不必要で無意味なのでしょうか。
私はこれから変わっていくと思っています。なぜなら英語教育が浸透してくると、幼いころから、本の読み聞かせなり、動画なりで英語と接する機会が増えてくるはずです。それだと母語である日本語がおろそかになる!という論点はありつつ、大きな潮流としてはそうなるでしょう。すると、サイトワードを音と意味では知っている状態になるので、サイトワードを学ぶ基盤が出来上がってくるのです。
日本では英語を話す・聴く機会が限られるので、語彙を増やし、読解力を付けるには多読が一番と思っていますが、読む力の基盤になるのがサイトワードです。サイトワードがわかれば、知らない単語があっても読み飛ばして進めることができます。
お子さんがいらっしゃって、英語を勉強させたいと思う方は、サイトワードを意識して、ごく簡単な本を読み聞かせたり、英語の唄を聞かせたりすることから始めてもいいですね。
我が家の下の子はアメリカの1st Gradeの途中まで通って帰国になりましたが、まだサイトワードが怪しいので、サイトワードを軸に作られたBOB BOOKSというミニ絵本集を買って、音読してもらうことで維持向上を図っています。`
英語の唄といえばマザーグースがありますね。
マザーグースの唄の歌詞にはサイトワードが満載です。例えばぱっと思いつく曲に”Little girl little girl where have you been?”がありますが、これなんてlittle, girl where, have, you, been、つまり全単語サイトワードです。つまり、マザーグースの唄を暗唱できる=サイトワードを覚える準備にもなるわけです。
ということでいつの間にか宣伝になっていますが、マザーグースを覚えて歌うイベントへのご参加お待ちしています♪